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細胞上清液は、体内の組織から採取した幹細胞を培養することで得られる液体成分で、いわば「再生のエッセンス」とも呼べるものです。 この上清液には、幹細胞が分泌する成長因子やサイトカイン、活性ペプチドなど数百種類の生理活性物質が豊富に含まれています。これらの物質は、傷ついた組織の修復や再生を促進する働きがあります。 また、細胞そのものを移植するのではなく、専用の遠心分離などの処理を行うことで、有用な分泌成分のみを抽出でき、外的な成分を加えずに使用可能。そのため、安全性も担保されています。
自己脂肪由来幹細胞培養上清液療法
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肌のコラーゲン生成促進や炎症を抑えることで、加齢に伴う肌トラブルを緩和するなど、さまざまな場面で「自己由来の再生力」を活用できます。
自己脂肪由来幹細胞培養上清液療法は、自分自身の細胞から得られた成分を使用するため、副作用のリスクも低く抑えられます。
再生をサポートするための自然で効果的なアプローチとして注目されています。
自己脂肪由来幹細胞培養上清液療法の治療原理
自家脂肪由来幹細胞の培養上清液は、「体内の自然な修復因子」とも言える存在で、1ミリリットル中に1,000種類を超える生理活性物質が含まれています。

この中には、細胞の増殖を促進するEGF(上皮成長因子)や、血管新生を助けるVEGF(血管内皮成長因子)をはじめとする120種類以上の成長因子、50種類以上の免疫調整性サイトカイン、さらに修復に関わる情報を運ぶ、多数のエクソソームが濃縮されています。

これらの成分は、生体内で修復を促す役割を果たし、次の3つの主要なメカニズムを通じて組織再生に働きかけます:
線維芽細胞を活性化し、コラーゲンの合成速度を促進。これにより、皮膚や組織の再生が促進されます。

血管内皮細胞の移動(遊走)を促進し、新しい毛細血管の形成(血管新生)効率を向上。損傷部位に十分な酸素と栄養を届けます。
TNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインを低下させることで、慢性的な炎症による組織損傷の進行を抑制します。

さらにこの上清液は、細胞自体を含まないため、移植による免疫拒絶反応のリスクがほとんどありません。 代わりに含まれる機能性因子が、「自己修復シグナル」として働き、組織の自然治癒力を引き出す役割を担います。

そのため、安全性の担保と高い効果の両立が期待される、再生医療の補助的アプローチとして注目されています。
自己脂肪由来幹細胞培養上清液療法の適応領域
1.  神経系疾患
変形性膝関節症に伴う軟骨変性の修復促進、腱・靭帯損傷の治癒支援、骨粗鬆症に関連した骨形成や骨密度維持への補助的作用が期待されています。
2. 運動器疾患
変形性膝関節症に伴う軟骨変性の修復促進、腱・靭帯損傷の治癒支援、骨粗鬆症に関連した骨形成や骨密度維持への補助的作用が期待されています。
3. 代謝性疾患
2型糖尿病におけるランゲルハンス島機能の改善や、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)における脂質代謝の調整作用が示唆されています。
4. 皮膚および毛髪関連領域
皮膚の光老化に対するコラーゲン産生の促進、瘢痕組織の線維性リモデリング改善、男性型脱毛症(AGA)における毛包の活性化を補助します
5. その他の研究対象分野
慢性呼吸器疾患における肺胞修復、虚血性心疾患に対する血管新生の促進、自己免疫性疾患に対する免疫応答の調整作用が期待されています。
自己脂肪由来幹細胞培養上清液療法の治療の流れ
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初診時に医師が全身の健康状態や現在の症状を詳細に評価し、医学的適応の有無を判断したうえで、個別化された治療計画を立案します。
02 組織および血液採取
局所麻酔下で、腹部などから少量の皮下脂肪を低侵襲的に採取し、同時に10〜20mL程度の静脈血を採取します。これらは幹細胞の培養および血清調整に使用されます。
03 上清液の調製
約4週間無菌環境下で幹細胞を培養し、培養上清液を精製・回収します。
抽出された上清液には、成長因子・サイトカイン・エクソソームなどが含まれます(細胞本体は含みません)。

04 投与方法(適応領域別)
全身調整目的(コンディショニング):  
静脈内点滴(30〜60分)により緩やかに全身へ投与し、その後経過観察を行います。

局所治療(組織修復など):  
目的とする部位に直接注射(例:関節内注入、皮下注射)を行います。

美容・皮膚再生目的(アンチエイジングなど):  
微細針(マイクロニードル)などを用いて、皮膚(主に顔や頭皮)に投与します。
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身体評価