自己脂肪由来幹細胞療法は、患者様ご自身の脂肪組織から幹細胞を採取・培養し、血管内・関節腔内などの部位へ投与する再生医療です。 幹細胞が持つ優れた修復力により、傷ついた組織の再生や機能回復をサポートします。
自己脂肪由来幹細胞療法とは
・自己複製能 幹細胞は自ら増殖する力を持ち、同じ性質を持つ幹細胞を生み出すこと能力があります。
・多分化能 周囲の細胞や組織に応じて、さまざまな機能を持つ細胞へ変化することができます。
・パラクリン効果 成長因子やサイトカインなどの有用な物質を分泌し、周囲の細胞に働きかけることで、組織の修復や再生を促します。
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幹細胞の3つの特長
脂肪由来間葉系幹細胞の臨床応用
脂肪由来間葉系幹細胞は、ご自身の脂肪から容易に採取でき、身体への負担も比較的少ない再生医療用の細胞です。 この細胞には、傷ついた組織の修復を助ける、炎症をやわらげる、周囲の細胞を元気にする、 加齢で低下した修復力をサポートするといった働きが期待されています。 そのため、様々な症状やお悩みに幅広く活用されています。
代謝ケア:糖代謝、脂質バランス、腎機能サポート
脳・神経:脳梗塞後の機能回復、神経機能サポート
心血管:心機能や血流改善のサポート
肝・腸・膵機能:内臓機能の修復サポート
呼吸器:肺機能や慢性炎症のケア 免疫バランス:自己免疫に伴う炎症サポート
関節・運動器:変形性膝関節症、筋肉、腱、軟骨の修復サポート
主な応用分野:
脂肪採取と凍結保存技術の革新 ― “若さをストックする”新時代へ
低侵襲の脂肪採取と液体窒素による凍結保存技術の進歩により、ご自身の脂肪細胞を、将来の再生医療やエイジングケアに備えて長期保存できるようになりました。 現在の健やかな細胞を“未来のご自身へのストック”として残しておくことで、必要なタイミングで再生医療に活用できる、新しい医療の選択肢が広がっています。 若々しさを保つためのアプローチはもはや特別なものではなく、先進的で現実的な選択肢となりつつあります。
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なぜ脂肪幹細胞は減りやすいのでしょうか
従来の脂肪移植では、移植後に最大約70%の脂肪細胞が定着せず、体内に吸収されてしまうことが課題でした。 これは採取時や保存時、再注入時などの各培養工程で細胞へ負担がかかり、細胞の活性が低下しやすいためです。 当院では、こうした課題に対応するため、京都大学との共同研究に基づいた細胞採取・前処理・保存・再注入技術を導入し、脂肪細胞の活性をできる限り維持することを目指しています。
技術革新:低侵襲脂肪採取 × 液体窒素凍結保存
当院では、低侵襲の脂肪採取と液体窒素による凍結保存を組み合わせた先進技術を採用しています。
直径約2mmのごく小さな傷口から脂肪を採取し、特殊な1mmマイクロニードルを用いることで、従来よりも身体への負担を抑えた処置が可能です。
さらに、陰圧を細かくコントロールすることで組織へのダメージを軽減し、特許取得済みの保存液によって外気との接触を抑えながら高品質な細胞の保存を実現しています。
侵襲の少ない採取から細胞の保存までを極めて短時間かつ厳正に行うことで、痛みや感染リスクを抑えながら、脂肪細胞の活性をできる限り保ったまま保存することが可能です。
-196℃の超低温冷凍保存:細胞活性を未来へつなぐ技術
液体窒素を用いた-196℃の超低温冷凍保存により、脂肪細胞へのダメージをできる限り抑えながら、長期にわたる品質維持を可能にしています。
▶緩速凍結による冷却コントロール 緩速凍結を行うことのできる冷却装置を用いることで、凍結時に起こりやすい細胞損傷を防ぎ、安全で安定した保存環境を実現しています。
▶ DMSOによる細胞保護 ジメチルスルホキシド(DMSO)を使用することで細胞を保護し、凍結による細胞へのダメージを軽減します。 ▶ 見える品質管理 凍結・融解・播種から培養までの全工程を可視化し、細胞生存率向上への取り組みを管理しています。
治療の流れ
01 初診・詳細評価
病歴や現在の症状、これまでに受けられた治療経過を確認・評価します
血液検査により、腫瘍マーカーを含む各種バイオマーカーを測定します
MRI・CT・PETを詳細に解析し、治療方針を検討します
02 脂肪採取
局所麻酔および笑気麻酔を使用し、腹部の皮下脂肪組織を小豆大程度採取します
PMDAおよび医療用GMPに準拠した無菌操作環境で、安全性に配慮し脂肪採取を行います
03 細胞培養

採取した脂肪組織から、酵素処理によって間質血管細胞群(SVF)を分離します。
その中から間葉系幹細胞(MSC)を取り出し、約4週間かけて培養・増殖します
培養後は、最終的に約1億個まで細胞を増やします
安全性と品質を確認するため、培養後に品質管理検査を行います
細胞培養は、政府認定の細胞培養加工施設(CPC)にて厳格な管理のもとで実施します。
04 細胞投与
点滴による静脈内投与
症状や治療目的に応じた患部への局所注射